ヤスモトという店

高岡市伏木国分・ヤスモト伝説

もし、ヤスモトに迷い込んだなら・・・

旧雨晴トンネルの上に建つ古い洋館をご存知だろうか?
この建物こそ知る人ぞ知る喫茶店、
『ヤスモト・アンティックサロン&ティー』なのだ。
往年の雰囲気を今に伝えながら、ひっそりと営業されている。

国道415号から山側の道に入ると、建物のエントランスへ辿り着く。
そこまで行けば、ただらなぬ贅沢な造りの建物だと気づくだろう。

もし、あなたがこの場所へ迷い込んだなら、
雨晴海岸に浮かぶ「女岩」をエーゲ海の小島に見立てでもして、
一杯2000円の珈琲を飲むことになる。

はじめて行かれる方は、その価格に驚かれるに違いない。
半端な気持ちではエントランスまでで引き返してしまうだろう。
「ヤスモト」は選ばれし者のサロンなのだ(笑)

メニューはケーキセットの1種類のみで1000円。
さらにテーブルチャージ代1000円が加算され、合計2000円となる。
正直なところ、コーヒーやケーキは特にこだわりがある感じではないが、
この建物自体に唯一無二の価値がある。順に紹介したい。

「竜宮城」というべき内部空間

内部は外観以上にインパクトがある。至るところに大理石が使われ、
アンティーク家具や巨大な美術品が所狭しと並ぶ。

東洋と西洋が混在する豪華絢爛で不可思議な空間は、
昭和後半〜平成初期のセンスを濃厚に感じるものだ。
しかしながら古ぼけた印象は一切無い。窓は曇りひとつ無く、
床にホコリひとつ無いコンディションが維持されている。
あまりに色褪せていないのでなんだかタイムスリップしたような感覚だ。

そして、目の前にはオーシャンビューの絶景が広がる。
これらのことを踏まえると、このお店は「竜宮城」と
表現するのが的確ではないだろうか?

正直なところ、この貴族趣味的なセンスは好き嫌いが分かれるだろう。
とはいえ、かつての時代色を反映した空間には懐古的な良さがあり、
時折そこへ迷い込みたくなるような「空間の魔力」があるように思う。

写真のコーヒーとデザートセットで2000円となる。
テーブルからは穏やかな波の様子を眺めることができる。遮るものは何もない。
絶景具合でいうなら「道の駅雨晴」より断然こちらだろう。

とても落ち着いた雰囲気のお店なので
少人数でたっぷり時間に余裕を持って訪れたい。
おひとりの場合は、本を持っていくことをおススメする。
贅沢な時間が過ごせるはずだ。

実は、40年も前から存在していた

この際、お店の歴史についても書いてみたい。

ここは昭和の時代には「松」という名前で営業しており、
その後、安元美術(射水市)に経営が移り、名称を「ヤスモト」へ変更。
その際に現在の内装にリニューアルされたようだ。
また、旧ブログでいただいたコメントでこんなものもあった。

「高校生の頃、年上のオネーさん達に連れられて初めて行きました。
初めてUSA製のモーターホーム見たのも、機械式の自動演奏ピアノも、
そして、イタリア製の立派なエスプレッソマシンもここでした。
もう40年近く前の話ですが。

どうやら昔は相当オシャレな場所だったようだ。

かつての伏木はハイソだった

個人的には、この建物こそ30〜40年前に存在した
「ハイソな伏木文化」の歴史的遺産ではないかと考えている。

伏木と言えば、今でこそ「けんか山まつり」の荒っぽいイメージや
空き家の目立つ寂しい住宅地という感じなのだけど、
自分は長らく別の印象を持っていた。

個人的なエピソードになるが、自分が小学生だった1990年代前半、
伏木にある祖母の友人宅へ遊びに行っていた。
その家は4階建てでホームエレベーターつき。周りの家よりひと際大きい豪邸だった。
海の近くにはしゃれたレストランもあって、
子供ながらに「伏木=海沿いのハイソな町」だと思っていたのだ。

また、学生時代に高岡のある経営者のところでお世話になっていたのだけど、
高岡のブルジョアジー(有産階級)というべき彼らのセンスが
まさに「ヤスモト」みたいな感じだったことを思い出す。

ごちゃまぜの和洋折衷で豪華絢爛。さらに真鍮で作られた
アールヌーヴォー的な装飾を自宅に好んで用いていた。
その貴族趣味はイマイチ好きになれなかったのだけど、
月日が経るにつれ、それすら懐かしく思う自分がいる。

過ぎ去った時代に思いを馳せて

今や祖母の友人宅は跡形も無い。跡地は無機質なソーラーパネルが並んでいる。
また、高岡のブルジョアジーの方は姿を見せなくなった。
長い歴史を持つ工場を経営されていたが、今は事業を清算されたらしい。


けれども「ヤスモト」は昔のままに存在している。
あれこそ、かつて見た伏木や高岡のブルジョアジーの雰囲気ではなかったか。
今となっては、過ぎ去った時代の象徴のような気がしてならないのだ。

【店名】ヤスモト・アンティックサロン&ティー
【住所】富山県高岡市伏木国分7-4
【電話】0766-44-5312
【営業時間】12:00~16:00
【定休日】土・日のみ営業
※駐車場あり
※2018年11月時点の情報です

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