クールジャパンのことなど

クールジャパンは過去にあった

自画自賛が吹き荒れる一方で

近年の官民挙げての自画自賛の風潮。
クールジャパン戦略という国家戦略を始め、キー局制作のテレビ番組はもちろん、
地元でも富山市の「AMAZING TOYAMA」や金沢市の「いいね金沢」など
具体例を挙げれば枚挙に暇がない。

個人的には自己陶酔的なムードに違和感があるのだけど、
一方で日本の1970〜80年代のポップカルチャーが
海外から評価されているという事実はご存知だろうか?

前回の記事「ノスタルジーの国」に関連し、自分が思っていることを書いてみる。

海外から注目されるシティポップ

シティポップとは、元々「ニューミュージック」や「AOR」と呼ばれた
1970年代後半から1980年代に掛けて流行した邦楽の総称のこと。
国内ではどちらかというと、シティポップより当時の歌謡曲やアイドルの曲を
懐メロとして取り上げることが多く、音楽好きからも
洋楽の二番煎じ程度に思われている節があった。

しかし今、シティポップが世界で認知されつつある。
例えば、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」(1984年)は、
YouTubeでは2000万再生。しかも海外からのコメントばかりだ。
他にも、この時代の松原みきや大橋純子辺りの歌手においても
同様の現象が見られ、100万再生がざらという状況がある。

Mariya Takeuchi 竹内 まりや Plastic Love

人気に火がついた原因は?

2000年代に入ってから海外で「Vaporwave(ヴェイパーウェイヴ)」という
音楽ジャンルが確立した。インターネットから生み出された様式で、
その手法は過去の音楽を引用し再構築したものだ。
その傍流「Future Funk(フューチャーファンク)」では
日本の1970〜80年代のポップカルチャーを引用元とし、
やがてオリジナルの楽曲自体が注目されるきっかけとなった。

自分もシティポップを好むが、その音楽性はひと言で言うと「大人の音楽」。
1970年代前半のフォークとも異なり、実験的で技巧的。
現代のJ−POPの源流のようにも感じられ、荒削りなエネルギーを感じるものも少なくない。

妻と知り合った頃、古い2ドアの中古車(日産のパイクカー)を買って
車内で流していたのもシティポップだった。大滝詠一や高中正義辺りのベタなものから、
松下誠や吉田美奈子など。世代的には自分より20年くらい上だけど、
それらが「格好いい大人」の音楽に見えた。

当時から2000年代以降の日本のポップカルチャーは幼いというか退廃的というか
それまでの1990年代ものと比べて文化的に薄まっているような印象があった。

流行りのJ-POPじゃイマイチ絵にならない気がしたのだ(笑)
それは上の世代が背伸びして洋楽を聴いていたようなもので
自分は背伸びして、昔の日本のポップカルチャーに親しんでいたのだった。

1970〜80年代の日本が注目されている

こうした流れは音楽に留まらない。1970〜80年代に日本で作られた
自動車や電化製品、楽器などでも海外の評価が高まっている。
品質が非常に優れていたことと、商品のユニークさが見直されているのだ。

自転車を例に挙げるが、ママチャリ一つとっても
今の技術じゃとても当時の品質のものが作れないらしい

5年ほど前にミヤタサイクルが昔と同じように国産パーツにこだわった
ママチャリを販売していたが、お値段はなんと15万円。
海外ではメイド・イン・ジャパン時代の中古自転車が
現在の新品自転車以上の値段がつくこともあるらしい。


出典:PREMIUM MIYATA

そのような話しから見えてくるのは、戦後日本の文化的な黄金期は
どうも1970〜80年代辺りにあったのではないか?と思えてくる。

「昔は良かった」は今やオッサンの懐古趣味ばかりじゃなさそうだ。
海外からの評価がそれを裏付けているのではないだろうか?

文化には黄金期がある

さて、歴史を顧みるとこれまでに政治が長期的に安定し、
文化的な黄金期と呼ばれた時代はいくつかあった。
桃山文化や元禄・化政文化、大正デモクラシーの時代などが該当するだろう。
それらに続く黄金期があるとしたら、1970〜80年代が選ばれる予感がしている。

今、海外に伝わっている「クールジャパン」というのも、
現代の日本発の文化というより、その辺りの時代の日本を指すものが多い。
スーパーマリオやガンダム、ドラえもんは1970〜80年代のコンテンツ。
比較的新しいポケモンですら20年前。それに続くものがあまりに少ないのが現状だ。

これは国内の人口動態の統計からも示唆されることで、
団塊世代が30代となり、社会で頭角を現し始めたのが1970〜80年代。
人数が多いということは、切磋琢磨されて良質な文化が世に現れやすい。

「だからなんだ?」と言われればそれまでだけど、
「新しいものが良いモノだ」「優れたものだ」ということは
今の時代、疑ってかかった方がいいのかしれない。

マンネリの二番煎じに親しむなら、過去の源流を辿った方が本質だ。
自画自賛の風潮の中で言いたいのは、凄いのは今の日本ではなく、
かつての日本なのかもしれない。クールジャパンは過去にあったのだ。

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